薬剤師すずの書斎

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私、白血病になりました①~血液内科にたどり着くまで~

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世界がコロナの対応に追われて、慣れない生活様式を強いられていた2020年5月、思ってもない病名を医師から告知されることとなった。

 

夫は病院勤務なので、コロナ感染を家庭に持ち込むことを恐れて別居生活をしていた。上の子の幼稚園は預かってもらえたが、下の子の保育園は休園になってしまいワンオペで仕事は続けていて、目まぐるしく日々は過ぎていった。だが、そんな中でもふと異常に気が付く。

・・・生理の量が多いな。

いつも始めの方は大抵出血量は多いし、こんなもんかな。

なんて1日様子を見ていたが、1時間もしないのに、どんなに大きな紙ナプキンがキャパオーバーとなり、毎時間トイレに駆け込み、外出ができなくなった。それ以外は至って元気で、とりあえず上の子のお迎えがあるので、次の日に子宮内の血が出きっていることを祈り一晩過ごした。

翌朝、心配になって真っ先にトイレに行こうとベッドから立ち上がった瞬間、滝のように股の間から温かい血が大量に流れ出るのがわかった。私は急いでトイレへかけこんだが、時すでに遅し。子宮に溜まっていた血が下着やパジャマという防波堤を乗り越え、ダムが決壊したかのようにトイレも血の海となった。

突然寝室からいなくなったママを、泣いて探している子供たちの声が遠くで聞こえる。そして上の子が家の廊下を走ってママを探している。しかし、血の海と化したトイレをそう簡単に子供も前で開けることができず、トイレの外の子供の泣き声を聞きながら、トイレの中にいる私は途方に暮れた。

きっとトイレのドアを開けると、子供は泣きながら抱っこをせがむだろう。そして大量の血を見てパニックになるだろう。考えるだけで疲れてしまったが、とりあえずここから出て着替えよう。

泣き叫ぶ子供たちを、意味もないのだろうが適当な言葉でなだめながら着替えを済ませ、洗面所で汚れた服を手洗いし、トイレの床を掃除し、とりあえず上の子を幼稚園へ送り出した。その間も、何度かトイレに駆け込み、ダムの決壊前に対処することに追われる。

結局数日経っても、出血量は変わらなかったということだった。出産を2回経験しているからわかった。出産より出血してないか?これ以上出血すると体がしんどくて動けなくなる・・・・。

 

そうなる前に病院行こう。

 

その日ちょうどお休みだった別居中の夫に病院へ行くことを伝え、万が一入院になった時のことを考えて、荷物を軽くまとめてあることを伝えた。下の子を母親に預けて、かかりつけの婦人科がある大学病院へいった。

 

診察を待つ間もトイレに何回も行って、ヒヤヒヤしながら待った。そして、先生に事情をはなし、エコーをしてくれた。

 

婦人科医師「エコーではもう血はほとんど残ってないね。子宮自体もきれいだから、今日入院ってこことはなさそうです。もうすぐ血もとまるとおもいますよ。処方するとしたら止血剤かな。」

 

いや~、ほっとした!下の子を産んだ時に子宮動脈を切って、塞栓術をしているからまた血管切れたかと思ったが、そうではなかった。あの時の激痛もないし、そんなことはないと確信に変わった。

 

婦人科医師「一応採血してからかえりましょうか」

 

家族には、とりあえず入院は免れた!!と喜びの連絡をいれていた。採血して結果が出たころに診察室によばれた。入室して、検査結果をみながら先生が言ったのは、

 

婦人科医師「ちょっと相談なんですが・・・。ここの数値がちょっとおかしいんですよね。すでに血液内科の先生に連絡しておいたから、今から行ってください。専門の先生に診てもらったほうがいい。」

 検査結果をみてゾっとした。

 

白血球、血小板、ヘモグロビン・・・低っ!!!

 

わたし「(相談したいって言ってたよね・・・?)もうコンサルしてるんですか???(マジか・・・嫌な予感がする)先生、詳しく検査しないとわからないことは重々承知なんですが、この結果から読み取れる病気ってなんですか?」

 

コンサル(コンサルタント略。専門医に相談すること)が早すぎる・・・。血液内科を受診するまで、この予感を引きずって待合室におとなしく一人で座っていることなんてできないって思った。だから仮でいいから早く診断名を言ってほしかったのだ。

 

婦人科医師「血液の病気はたっくさんあるから、検査しないとなんともいえないけど、骨髄にできものできていたり、、、、、、」

 

わたし「できものって・・・。(私わかるよ、薬剤師だもん。先生、はっきり言って。

わたし、癌だよね?)」

 

次回に続く。