薬剤師すずの書斎

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残薬問題を考える~ゼロにできるのか~

錠剤, 薬, 処方, ヘルスケア, 医学, 健康, 薬物, 投薬, 製薬, 処理

こんにちは!

少し涼しくなってきた~。むしろ窓開けて寝ていると寒い、、、。

なんていう今になってすごい蚊にさされまくっている新乃すずです。

「この命尽きるまえに、子に栄養を。。。。」

と言っているかのように近づいてくるので、なかなかパチン!できずなんですぅ。

しかもみなさん、蚊をつぶして出てきた血、誰のだろう???

って不安になりません?知らない人の血を素手で触ってる恐怖がいつもぬぐえません(;゚Д゚)

 

さてさて、今回は残薬ついて書いてみました。みなさんのおうちには、お薬のデットストックありますかー?

薬剤師のわたしでもあります(;・∀・)

でも、それの使用期限がいつぐらいまでか、保存方法、使用方法をわかっている薬剤師なので、少しずつ使用できますが、薬の専門知識がないと1回棚の奥底に眠らせた薬を使用する勇気はなかなか出ないし、使用方法を間違ってしまったらたいへん!!

そこで、残薬を減らすようにどのように薬剤師として介入していたのか、残薬はどこまで減らすことができるのか?を記事にしてみました。

 

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平成20年を過ぎたころから医療費削減の目標の一つに、残薬が問題視され始め、薬剤師の取り組みで残薬の減少が認められています。しかしながら、残薬削減は、医療費削減や病院・薬局経営のためだけではありません。それ以外に、残薬に隠れている問題点は何なのでしょうか。またその解決策と、これからの課題について、現場で働いていて感じたことも含めてお話ししたいと思います。

 

残薬の種類と理由

入院患者の残薬の種類は急性期と慢性期では異なります。急性期は病状が急変するため処方変更が多く、降圧剤や抗凝固薬などの内服薬が多くみられます。慢性期は、「変わりなし」の診断でDO処方が多かったり、お亡くなりになり使用しなくなったり、薬剤の返却が多いので、眠剤・下剤・鎮痛剤・感冒薬の屯用薬や軟膏・下剤・貼付剤の外用剤が多い印象です。

調剤薬局の患者においては、

 

・処方変更によって残薬が発生した

・症状が改善してきて屯用回数が減ってきたので薬が余っている

昼夜逆転の仕事をしていて、内服のタイミングがわからなくなった

・重要な薬だと知らなくて、飲まなくてもよいと思っていた

・入院して処方が変わった

・自己管理能力が低下してしまった

 

など、服薬指導をしていると残薬には様々な理由があることがわかります。解決方法は一つではなく、患者個々に合った対処方法が必要なので、残薬が生じる理由を明確にすることが重要となります。

 

残薬に隠されている患者へのデメリット

決められた使用方法を守らないと、薬剤の本来の効果を発揮できていないことで、治療が長引いたり、さらに薬が追加されたりすることになります。患者にとって、疾病の苦痛が増えるだけではなく、余計な治療費の出費も膨らむこととなるのです。

例えば、自己調節をしていた場合、この薬は効かないと思い、薬の自己中断につながってしまいます。自己中断の理由としては、相談やアドバイスを受ける機会がないなどの「孤独な病との闘い」が原因と考えられます。「残薬が決して悪いことではなく、現在の薬物治療を見直すいいチャンスであるととらえ、メリットへ繋げていきたい」と薬剤師として患者に伝えることができたらより良いですね。

 

残数の把握と情報提供を徹底する

         ~病院薬剤師としての取り組み~

病院に勤めていた当時は、内服しなかった薬は病棟の看護師の判断で廃棄せず、必ず残薬ボックスに入れるようにお願いをしていました。それを毎日薬剤師がチェックを行うことによって、カルテからうかがえない内服状況から病状を知ることで処方検討をスムーズに行うことができ、残薬を最小限にとどめることができました。

入院時の持参薬の鑑別も、残薬の削減にとても重要な作業です。薬の残数を把握していれば、退院時の処方日数も必要最低限の日数にすることで、病院の持ち出しも少なく済みます。

退院後、外来通院を継続される患者に対しては、引き続き担当薬剤師が介入する機会がありますが、もとのかかりつけの病院にもどる患者も少なくありません。その場合、担当薬剤師として、今後かかりつけとなる医師だけではなく、薬剤師にむけても処方変更の理由や残薬の理由を含めた情報提供をすることとしていました。通院時に必ず持ち歩くお薬手帳に情報を記載するのです。そして、退院時の医師からの情報提供書と一緒にお薬手帳もかかりつけの医師に提出していただくようお願いしています。もし、お薬手帳を医師に提示し忘れても、その後に行く調剤薬局では薬剤師によるお薬手帳の確認があるので、提供した情報をもとに薬局の薬剤師により残薬調整や適切な服薬指導を行うことができるのです。

 

調剤薬局ではコミュニケーションが要

調剤薬局において、残薬が多い患者はおおかた定期処方の患者であるため、毎回同じ調剤薬局に処方箋を出します。「お薬が余りましたら、次回お持ち下さい。」と、薬袋に記載するなどして毎回残薬を持ってきてもらうといいでしょう。

調剤薬局の中には、「残薬バッグ」「節薬バッグ」「お薬相談バッグ」と名前を付けたエコバッグを提供し、残薬を減らす取り組みをしている薬局もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

患者の一部には、「きちんと内服していないと主治医に申し訳ない。」「医師から診療を積極的に行ってもらえないのではないか?」と、デメリットばかり思いついてしまい、なかなか残薬があることを伝えてくれない方がいらっしゃいます。

普段から薬剤師と患者との間で、上手くコミュニケーションがとれていれば、すぐに問題に気づくことができますが、そうでない場合は、残薬があることや残薬が生じる理由を話してくれるようになるのに時間がかかりそうです。

例えば、トレーシングレポートをうまく使い医師と服薬指導の整合性を高めたり、毎回、服薬指導時に同じ質問をしたりしないように次回の質問事項を記録に残しておくなど、局内で情報共有を徹底しておくと良いでしょう。こうすることで、患者の心にはきちんと一人の患者として自分の事を気にかけてくれているという思いが生まれ、そこから信頼関係に繋がっていきます。そしてそれが、薬に関しての悩みを患者から聞き出せるきっかけになることと思います。

 

 

リユース薬として再流通で残薬削減につなげられないか?

今後、残薬を買い取る制度を設けることができれば、確実に残薬の回収率は上がるでしょう。ところが、せっかく患者からの残薬を回収できても、一回患者に渡った薬は、ほとんどのケースで保管状況や衛生面での補償がないので再利用できないのが現状です。再利用を現実的なものにするには、例えばPTP包装のような個別包装の品質保持能力を向上させ、未開封であることが一目で判別できる仕組みが必要です。また、PTP包装であればアルミのシート部分に錠剤1錠ずつバーコードや2次元コードをプリントし、闇ルートを通じて違法の薬が横行しないよう、大まかな流通経路や使用期限をコードリーダで一括管理できるシステムがあれば再利用は可能となります。

そこでまた問題となるのは、再利用薬剤としてのイメージが良くないとして、使用を拒む患者が出てきます。そこで、再利用薬の価格を下げるのです。ジェネリックを希望するように、再利用された薬でも安くて品質に問題なければ、その薬を必要とする人は多いと予想されます。

 

残薬がなくなる未来はくるのか

今日、先発薬に加えジェネリック医薬品の種類も多くなりました。ヒートの色や錠剤の大きさが違えば、患者は自宅に同効薬があるとは気づかず残薬が増えていきます。さらに、一包化で裸錠になれば何の薬なのか素人では判別が難しく薬剤師にしかできない仕事です。

しかしながら、残薬を減らすために薬剤師が介入することで、診療報酬による重複投薬・相互作用等防止加算などの保険点数が発生します。実際、説明もなく良かれと思い残薬を持参しても、料金を取られ患者がご立腹される場面にも遭遇したこともあります。そのため、初回の問診表や服薬指導時に患者負担が増えることを説明する必要もでてきます。

そして、残薬の鑑別は、人材と時間が大幅に取られます。実際現場で働いていて、大量の残薬整理に追われ他の業務に支障が出てしまうと、それが保険点数とみあっているのか?という疑問も生まれました。薬剤師だけの頑張りだけでは、残薬をさらに減らすには限界があります。残薬を限りなくゼロにするには、まだまだ時間がかかり、薬剤師が現場で感じたことを声に出し、国や製薬会社と連携して対策を練っていく重要性を感じています。