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日本医療の崩壊危機~いそげ!2025まであと少し~

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今でも医療費が膨れ上がっている日本は、団塊の世代が75歳以上となる2025年度にかけてさらに医療費が急増すると見込まれ、それと同時に今後、年間死亡者数もふえていくことは必然的ですね。

ただでさえ、働き改革が難しい医療従事者の負担は現状厳しいものがあるが、さらに過酷なものとなり、日本の医療の崩壊が目に見えている。なので病院の再編は急務なんでですよ...もう改革に待ったなし!

そこで安倍内閣は「地域包括ケアシステム」「地域医療構想」を急いでいるのだが、なかなか「地域医療構想」が進まない...

 

そもそも地域医療構想ってなぁに?

 

現状、病院はどう機能しているのか調査した結果、主に多くの地方病院のベッドは余っていることが明確化してしまいました。病床は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の種類に分かれているけれども、地方は特に急性期のベッドが過剰。逆に、地方の高齢者が必要としている回復期病床が不足しているので、余っている急性期を回復期のベッドに変えていって下さい。そして、近くの病院同士話あって、足りない診療科は何か、統合できる診療はないかを話し合って、無駄を整理し、効率化しましょう。ということです。

ですが、地域ならではの理由もあり、なかなかうまくいっていないのが現状。そこで、効率化を強く促すため9月27日に厚生労働省を通して公立・公的の424病院の名前を公表し、来年までに「現状維持」か「再編統合を行う」のどちらか返事を下さい!とおしりをペンペンと叩いたのです。

 

厚生省のサイトの掲載リスト

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551037.pdf

 

地域医療構想がなかなか進まない訳

 

公的病院の6割が赤字というけれど、地方という限られた社会にはいろいろ事情があり、また、その事情も地域によってそれぞれ違うのです。病院がコミュニティの場所になっていたり、雇用の場にもなっている。足がない高齢者は行きつけの病院がなくなったら困ります。病床数を減らす目的が、後期高齢者の入院先をなくしてしまっては意味がないですしね。また病院がなくなることで、選挙にも影響が出る人もでてくるでしょう。(だったら、任期のあいだに上手く編成し統合しなくては!)

 

名前公表された病院だけの努力ではムリだわ...

 

どの都道府県も地域医療構想調整会議を行っているが、知事などの行政が主導し、協議を行っていかないと赤字経営の病院同士だけでは、病床が減った病院の医師確保や、医療機器の投資はやはり難しいですよぉ。再編・統合された病院の利用率、病床稼働率が上がれば病床数が増え、医師や医療従事者の研修機能も果たせ、地方の若手人材確保にもつながる!そう上手くまとまってほしい。そして、遠隔医療の推進も必須となってくるんだなと今回つくつく実感しました。

今回、病院名を公表されたのは、(地域性などを含まず)病院の実績のみを評価し、その結果下からの3割の公立・公的病院にとどまったとか。今後、民間・私立病院の病院名公表もあるかもしれませんね。

 

 

<参考>

公立病院再編 地域の実情踏まえ検討を急げ : 社説 : 読売新聞オンライン

地域医療構想では関係者の納得と合意が重要|第903回/2017年10月1日 HTML版:全日病ニュース:全日病の発言 - 全日本病院協会

「よくわかる医療業界」 川越満・布施泰男 著

2019年9月27日放送 フジテレビ「とくダネ!」