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大学で研究か、民間企業で研究か、日本か海外か

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今年のノーベル化学賞に日本人が選ばれました!

充電可能なリチウムイオン電池を開発した、大手化学メーカーである旭化成の名誉フェローでもあり、名城大学大学院教授でもある吉野彰さん71歳です。

 

吉野彰さん

 

1948年 大阪・吹田市生まれ

1972年 京都大学大学院修了 旭化成入社

2004年 紫綬褒賞

2014年 工学の最高栄誉賞 米「チャールズ・スターク・ドレイバー賞」

2017年 名城大学大学院教授 旭化成名誉フェロー

2018年 日本国際賞

2019年 欧州特許庁より「欧州発明家賞」

 

 

研究の苦労

 

 

研究には3つのステップ、基礎研究、応用研究、開発研究があり、吉野さんはそれぞれに苦労あると言い、その後も3年間は売れない時期があったといいます。

「ゴールに向かう時は必ず壁が出てくる。その壁を乗り越えれば必ずゴールがある。その信念があれば、壁が何度も出てきても頑張っていける。」

しかし、いつ売れるかは誰も教えてくれるはずもないなか、研究開発費が膨らみ施設投資も行っているので、精神的にも肉体的にもかなりきつく「真綿で首を絞められるような苦しみ」があったようです。軽はずみで「お給料のために研究職に進んでいればよかった。」なんて言った自分が恥ずかしいです。

 

shinnosuzu.hatenablog.com

 

 

 

 

あえて民間企業へ

 

 

なぜ吉野さんは、大学卒業後に研究室に残らず、あえて民間企業を選んだのでしょう。

その答えは「同じ研究をやるにしても、その研究がうまくいったときに新しい製品が生まれて、それが世の中で広く使われ、それが世の中の為になる。」それが自分にむいていると考えたそうです。

人類への貢献、地球への貢献を考えた時に、一番の近道が企業という選択肢だったのでしょうね。

ですがそれができるには、企業側の大きな懐も必要不可欠です。社員を信じて研究をさせてもらえるなんて、現代の日本社会では少なくなってきているのですから。

ほんと吉野さんの努力が報われてよかったです。

 

ポリシーがゴールへ導いてくれる

 

 

「かたいばかりだとめげちゃいますし、柔らかいばかりだと前に進まない。大きな壁にぶち当たった時も『なんとかなるわね』という柔らかさが絶対に必要だと思う。」

そうなんですよね、目に前の問題に頭がカチンコチンになってはいけないとは思っていても、このバランスを保ったりコントロールするのって本当に難しいです。

日本人がノーベル賞を受賞すると、必ずと言っていいほど「妻」の「内助の功」も注目されています。逆に、ノーベル賞受賞したから「内助の功」演じているのでしょうか?wそろそろ、破天荒な妻出てきてくださーい。きっとその人の方がノーベル賞ものですね。

どちらにせよ、きっとポリシーを貫くにしても、心の支えも重要ですよね。

 

海外へ行く事を夢見る研究者の卵さんたちへ「日本を忘れないで!」

 吉野さんが研究を始めた頃と今の令和では似ているところがあるといいます。

何かが変わるという空気。そこには多くのチャンスがあるので、今の若い人たちには、そのチャンスを掴んで、諦めずに自分の信念を持ち、未来の地球を救って欲しいと願っています。

 

 吉野さんが嬉しかったことは「インダストリー(産業)の吉野を選んでくれたということ。ノーベル賞は傾向としてはアカデミア(学術)の世界のものだった。」といっていました。

日本における研究費用は、ここ最近、緩やかに減少しています。また、主要国をみるとアメリカの研究費は日本の約3倍、中国は大きく増加しており日本の約2.5倍もあります。日本より研究費が少ない韓国でさえ増加率が大きく、ドイツも増加傾向です。このままでは、日本の財産である技術や貴重な才能が海外へ流出していく一方です。数十年後のノーベル賞に日本人の名前はあるのでしょうか。「海外へ行った研究者さんたち!いつか日本に帰ってきて、日本を助けて下さいねー!!」

 

<参考> 

民間企業”で研究 選んだ理由 ノーベル化学賞に吉野彰さん

https://www.fnn.jp/posts/00425340CX/201910100117_CX_CX

2019年10月10日 産経新聞

2019年10月10日 フジテレビ「とくダネ」

経済産業省 我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向

https://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/tech_research/aohon/a17_3_zentai.pdf