薬剤師すずの書斎

コーヒーが飲めないライターの机はPCとお菓子の山

日薬が厚労省に要望書を提出~コロナ禍の医薬品提供体制確保のために~

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日本薬剤師会から提出された要望書についての記事を依頼されてから、私の周りにいる医療従事者(病院薬剤師、院外薬局薬剤師、医療事務、看護師、、、)である知人にインタビューしてみると、このコロナ禍において色々な課題と苦労と疑問があふれ出てきました。

依頼されたのは1000文字程度の記事だったが、みんなの思いを鑑みると、とても1000文字では納まりきらないので相談させていただいて、結局3000文字近くになってしまいました。それでも書ききれない現場のスタッフの思いがあるのは心残りですが、日本薬剤師会が国に何を求めているか、すこしでも参考になればと思って書かさせていただきました。

(実際の記事にオリジナルの原稿をもとに文章を一部付け加えてあります。)

 

 

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『薬剤師・薬局は、新型コロナウイルス感染症対策の一翼を担い、患者・国民に必要な薬を届けます!』

と赤い字で基本理念を掲げることから始まる今回の要望書。[1]
しかしながら、理念を実現させるためにはいくつかの弊害があるため、4月30日に日本薬剤師会が「新型コロナウイルス感染症が薬局経営等に及ぼす影響に関する要望書」を加藤勝信厚生労働省大臣に提出しました。その内容は以下の8項目です。

 

1. 薬局経営に対する財政支援
2. 薬局スタッフ等に感染者が出た場合の薬局機能を維持するための仕組みの構築と支援
3. 薬局のマスク・消毒液不足に対しての配慮
4. 電話・オンライン診療から服薬指導に至るフローの周知
5. 配送増加に伴うオンライン決済システムの導入と使用手数料の負担軽減
6. 薬局勤務者が勤務継続する上で必要な社会環境の悪化を改善
7. エビデンスの不確かな治療薬の情報流布による混乱を防止
8. 医薬品供給の安定的な確保と薬価改定の延期

 

コロナ禍で医療機関が経営危機!?


~要望1. 薬局経営に対する財政支援~

現在、医療機関への休業要請はなく、むしろ今必要とされている機関であり経営には影響がないイメージをお持ちではないでしょうか。ところが外出自粛を受け、処方日数の長期化により来局する患者数が減少、すなわち処方箋枚数の激減により薬局の収入源の一つである調剤技術料(調剤基本料、調剤料等)が減ってしまいました。それが意味するのは、薬局経営に大きく影響してくるということです。そこで、日薬は国に要望書を通して財政支援をお願いしたのです。実際に調剤薬局で働く薬剤師からは、今年のボーナスが出るのか、年収が減ってしまうのではないか、と不安な声も聞かれています。

 

オンライン服薬指導で感染拡大防止を!


~要望4. 電話・オンライン診療から服薬指導に至るフローの周知~

「0410対応」という2020年4月10日付で厚労省からオンライン服薬指導を可能とする一時的な緩和措置がとられました。[2]
先日、私が某大学病院を受診した際は何の案内もなく、普段通りに門前薬局に薬を取りに行きました。もし、患者からのオンライン服薬指導の要望がない限り「0410対応」を活用できないのであれば、一般方の誰がこの措置を知っているのでしょう。

新型コロナ感染症の重傷者を出さないためには、最低限、基礎疾患がある患者や産科の受診時や事務で積極的にかつ早急に患者全員に周知する必要があります。
薬局としては薬の配送や、オンライン服薬指導を突然対応してくれといわれ抵抗があるでしょう。ところが、今回の措置では最低限、処方箋を受け付けるFAX機と電話があれば実現は可能です。今回の「0410対応」において、知人の薬局を一例として紹介すると、薬を着払いで郵送し、患者が薬を受け取る際に調剤費用(お会計)+郵送料を郵便局員に支払う形をとっています。送料等の支援を行うと厚生労働省も支援事業の一つに盛り込んだので、「0410対応」の普及が加速していくことを期待したいです。

また、高い壁に感じていたオンライン服薬指導への業務移行が、国からの財政支援をきっかけに、この危機的状況を乗り越えるべく、国が期待する次なる調剤薬局のビジョンへ、薬局の規模関係なく平等に前進していけるきっかけとなればいいなと思います。

 

コロナ対応で乗り越えるべき問題


~要望2. 薬局スタッフ等に感染者が出た場合の薬局機能を維持するための仕組みの構築と支援~

今までの説明では今回の「0410対応」を行うにあたり、大きな支障がないように感じたかもしれませんが、やはり新しいことをするには多少なりとも問題はあります。「0140対応」では必要に応じて複数回指導を行い処方医へフィードバックしなくてはなりません。要するに、業務量が増える可能性があるということです。また、自身の感染や、感染者の濃厚接触者となることで薬剤師が自宅待機となり、人員が不足するケースも考えなければなりません。そこで必要となるのが、薬剤師の派遣体制です。
処方箋枚数減少などで薬剤師がどこで足りているのか、イレギュラー業務で薬剤師がどこで不足しているのかを自治体ごとに把握し、人材を調整し、どの薬局も機能維持できるようにする必要があります。フルタイムで働けなくても短時間でも派遣で働ける体制を、ハローワークに出向かずに、スマホ一つで就職まで完結できる薬剤師の人材を専門に扱う転職エージェントが主導になって体制を作るのも一つのアイデアだと思います。

~要望6. 薬局勤務者が勤務継続する上で必要な社会環境の悪化を改善~

また、薬剤師が働きたいが働けない理由に、医療従事者であっても医師と看護師以外の医療従事者の子供は受け入れない保育園や学童保育があることや、医療従事者に対して感染の疑いを持たれ子供の預け入れを拒否されるヘイト問題の発生があるというのです。たとえ子供を受け入れてくれたとしても、自分が医療従事者であるがばかりに、友達がほとんどお休みの保育園に預けることに対し、我が子や職員に対して罪悪感を抱えながら働いている親がいるということも知ってもらいたいです。医療従事者にエールを!と謳っているばかりでなく、自治体は、医療従事者などの出勤せざるを得ない保護者に対する「配慮」を、「子供を受け入るべき家庭の名簿リストを自治体から各認可施設へ配布」など、具体的に形にしていただきたいと子を持つ薬剤師として切に願います。

 

信じるべき情報はどこですか?


~要望7. エビデンスの不確かな治療薬の情報流布による混乱を防止

新型コロナ感染症は昨年末に発見されたばかりの感染症です。現時点では、国内初の治療薬としてアメリカのギリアド・サイエンシズ社の抗ウイルス薬「レムデシビル」が特例承認されましたが安定供給されるかという不安があり、まだ国内の医療現場は論文を書き上げる余裕もありません。

しかしながら、どこの国の症例に基づいたかもわからない報道やSNSのうわさをもとに治療していては信憑性が低くて危険すぎます。実際に報道によって一部医薬品の品薄や、薬の適応外使用を患者が求めるといった事例が発生しています。

そんななかでも感染症学会のHPには緊急的に全国から集った症例報告が閲覧でき、薬物治療についてまとめた資料も掲載されています。[3][4]
この資料は新たに重要な知見が出てきた段階で改訂されていくので、ぜひ参考にしたいものです。また、新型コロナウイルスに便乗したサプリや飲料物に関する悪質商法や詐欺事件も耳にします。犯罪に巻き込まれないよう、専門家会議で話合われていることを一般の人でもわかりやすい言葉で国がCMを制作するなど、正しい情報を発信し混乱を防止するべきです。

無知は差別や悲劇を引き起こします。ただでさえ目に見えない未知なるウイルスによって苦しめられている人たちに二次災害が起きぬよう、正しい情報が平等にみんなのもとへ届くことを祈ります。そして、今回の要望書を通して日本の未来を明るいものにしようと頑張っている医療の現場に、もっと多くの支援の必要性を感じました。

 

<参考文献>
[1]日本薬剤師会ホームページ「新型コロナウイルス感染症が薬局経営等に及ぼす影響に関する要望書」(最終閲覧日:2020年5月6日)
https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/activities/20200430.pdf
[2]厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」 (最終閲覧日:2020年5月6日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000621316.pdf
[3]感染症学会ホームページ「症例報告」(最終閲覧日:2020年5月6日)
http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31#case_reports
[4] 感染症学会ホームページ「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第 2 版」(最終閲覧日:2020年5月6日)
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_200430.pdf

 

こちらが実際に掲載された記事です。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

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先輩薬剤師が厳選!2020新卒薬剤師におススメの本♪

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4月に掲載された記事のご紹介です。

私の薬学生時代は教科書が嫌いでした。細かい字ばっかりで、ややこしい文章の書き方が多くて、日本語ってむずかしー!!って、よく試験前に吠えてたっけな。

だから、試験前はデキる友達にさらに簡単な日本語訳をよく頼んでいたwww

逆に、写真やカラフルな図が多く掲載された教科書をチョイスしてくれる教授の授業はサボらずちゃんと出席してましたね。

まあでもそんなもんでしょ?勉強を好きになるきっかけって。

社会人1年目や、新人薬剤師も、知らないことや覚えることが多すぎて疲れ切って五月病になる前に、ちょっとでもプラスの方向へはたらくきっかけを見つけてほしくて、今回いくつかの本を紹介します。

よかったら参考にしてくださいね!

 

(★´∀`)ノ。。。。。。。。。。。。。。。。。。ココカラ4月記事内容START。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 

 

この春に晴れて薬剤師になった薬剤師1年生のみなさん、おめでとうございます!

国家試験受験に合格してからは、春からの煌びやかな社会人生活や、念願の現場で働ける!という期待で心躍っていたことでしょう。

しかしながら、その後の新型コロナの感染拡大で、会社や医療機関は感染予防対策でナーバスな雰囲気。

そんな状況の中で働くこととなったとしても、先輩はイレギュラーな対応業務で忙しそう、、、

大学での勉強の知識だけでは現場で通用せず、分からないことだらけなのに気軽に質問できない状況で困っている新人薬剤師が多いのではないでしょうか?

そこで、自力で勉強する薬剤師1年生の皆さんにおススメの本をご紹介します。

 

何から手を付けてよいのかわからない人におススメ!

www.jiho.co.jpじほう(2019年10月発行、296頁)

~おススメpoint!~
・現場で必要なスキルが学べる
・同期に差をつけて即戦力になれる
・先輩薬剤師が新人薬剤師に何を求めているかわかる

 

この1冊を読んだだけで簡単に「デキる薬剤師」になれる訳ではないですが、この本には「大学ではあまり教わらないけど、現場では常識である」知識や技術に焦点をあてて、先輩薬剤師が説明しています。

その内容は、感心される薬歴の書き方、ハイリスク薬、認知症の人との向き合い方、クレーム対応術、管理薬剤師など、現場で求められる知識やスキルを広範囲にわたり簡潔に解説されています。

どれをとっても、現場薬剤師にとっては基礎の「キ」の字にあたることが書かれているため、先輩薬剤師からすれば、「これくらいのことは理解しておいてほしいポイント」が押さえられています。

大学で学習した項目は復習にもなりますし、現場に出る前にこの1冊に目を通して、薬剤師業務の予習をするといいでしょう。

また、薬剤師になったものの、何から勉強したらよいかわからない人は、この本を読み、自分が興味をもった項目や苦手と感じる項目を掘り下げて勉強するのが良いと思います。

 

ハイリスク薬における患者指導の仕方がわからない人におススメ!

www.jiho.co.jpじほう第3版 (2016年9月発行、344頁)

~おススメpoint!~

・副作用モニタリングのポイントがまとめられている
・患者指導に使えるフレーズも収載
・実用性ある簡潔にまとまったチェックシート付き

 

愛媛大学医学部附属病院薬剤部が監修している本で、ベッドサイドや薬局窓口で利用しやすいように内服薬を中心に掲載されています。

代表的製品の添付文書に記載されている内容が簡単な言葉でまとめられたチェックシートが収載されており、患者への服薬開始時に何を指導すべきか一目瞭然!

モニタリングすべき検査項目も記載されており、指導のたびに副作用の有無や検査値をメモしておけば、その患者の内服後の経過がたどりやすいです。

経験の少ない薬剤師でも、漏れのない薬剤管理指導業務が行えます。

 

堅苦しい本が苦手な人におススメ!

www.bunkodo.co.jp文光堂 (2011年12月発行、97頁)

~おススメpoint!~
・肩の力を抜いて薬の物語を読める
・医師の経験談が読める
・持ち歩きやすく通勤時にも読める

 

月刊誌「メディカル朝日」(朝日新聞社)に連載された内科医の村川裕二先生のコラムが書籍になったものです。1冊に1年分(12の薬剤)のコラムが載っており、Ⅰ~Ⅲ巻まであります。

ページ数からすると割高な気もしますが、この薄さがまた読みやすい!実際、早い人は1時間もかからないで読めてしまうかもしれません。

活字が詰まっている分厚い本で気が遠のいてしまう人には、先生が物語を話しているかのような文章で書かれたこの本がおすすめです。医療現場で実際に薬を使用してみた感想や体験で知ったこと、ご自身で調べたこと、薬の開発の裏話が書いてあり、また、薬を身近なものや人に例えた挿絵も面白い。

薬を医師側からみた意見に触れられるので新鮮な気持ちで読めます。本を読んでいると眠くなって、勉強がはかどらない、寝る前に気軽に読みたい人にもおススメです。

 

このシリーズは外せない!病態を勉強したい人におススメ

www.byomie.comメディックメディア 第4版 (2017年3月発行、410頁)

~おススメpoint!~
・画像・イラストが豊富、カラフルで見ているだけで楽しい
・専門用語の掲載数が充実
・治療薬の使用意義が分かりやすく説明されている

 

学生の時から使用している人も多いのではないでしょうか。この「病気が見える」シリーズは、現在2020年4月時点でvol.1消化器~vol.12眼科まで発売されています。

このシリーズ以外にも疾患をビジュアル化して説明している本はありますが、その中でもこの「病気が見える」シリーズは治療薬にも触れているので、薬剤師におススメです。

アルファベットの略語やその領域における臨床で必要な専門用語の説明がほぼ網羅されていているところも素晴らしいです。現場ではカルテを英語で書く医師も少なくなく、私が新人の時はこの本を辞書代わりにし、いつも助けられていました。服薬指導も、患者の病態の特徴を知った上で指導した方が指導内容の質も向上します。

自宅での勉強用だけではなく、病棟や薬局にも1冊は欲しい本です。

 

医療スタッフの会話についていけない人におススメ!

www.amazon.co.jp照林社 (2009年11月発行、315頁)

~おススメpoint!~
・10×14㎝で白衣のポケットに入るコンパクトサイズ
・「聞いたまま」の言葉をすぐ引ける
・読めない漢字も画数から索引できる

 

私が新人薬剤師だった時に、病棟の看護師が「アレスト!」と声を上げ慌ただしく動いていましたが、当時の私はアレストが「心停止」のことだとはつゆ知らず、あとで「自分も医療人なら蘇生処置に加わるべきだった、、、」と反省したことがありました。

これがきっかけで購入した本です。

看護師向けの本ですが、病院・クリニック、在宅医療におけるカンファレンスや薬薬連携等で他のスタッフと会話する機会があれば薬剤師1年生は必携です。

薬剤師は酸化マグネシウムのことを「カマ」と言いますが、看護師は「マグ」と言います。また、検査の名前や処置名は必ずと言っていいくらいに聞いたことのない略語やカタカナ語で会話に出てきます。

「聞いたまま」の言葉を引けるように日本語読み、英語読み、アルファベット読み、慣用読みするもの全てを50音順に並べてあるので、ポケットに忍ばせておいて、こっそり調べて会話についていきましょう!

 

 

今回は視覚的に読みやすく、勉強にとりくむきっかけとなってくれる5冊を紹介しました。薬剤師1年生は、はじめはわからないことだらけの毎日ですが、その都度調べてラインをひいたり、新しい知識を書き込んでみてください。数年後に見返してみると、「当時はこんなこともわからなかったのか」「こんなに症例をみてきたんだな」と自分に誇りを持てると同時に、後輩の不安な気持ちが理解でき、きっと素敵な先輩薬剤師になれます!「毎日の弛まぬ努力」それが患者さんのためにもなります。自分を信じて日々頑張ってください!

 

 こちらが4月の掲載記事です!

本の写真もちゃんと掲載されているのでこっちの方が見やすいかもです☆

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医師の働き方改革で薬剤師業務の改革を起こす~タスク・シフティング/シェアリングによる課題と展望~

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今回の内容は先月掲載された新乃すずの記事なんです。

4月で新生活スタートと同時に、新型コロナの感染拡大で自宅や身の回りの環境変化の影響でバタバタし、PCにゆっくり向き合う時間がなく、気づけば4月も後半戦。。。

TVをつければ感染拡大や自粛報道で、いまこの記事をUPするのはなんか違うかな?なんて思ったりして延ばし延ばしになってしまいましたが、「いやこんなときだからこそ!」と思う部分もあり、ご紹介が今日になってしまいました。

今、医療機関はイレギュラー業務対応で戦々恐々としています。限られた資源や人員のなかで仕事をするにあたり、みんなで知恵を出し合い協力していることと思います。こんな環境だからこそ生まれたタスクシフティングやシェアリングもあることでしょう。薬剤師も他のスタッフのために行える業務もありますし、逆に他のスタッフに助けてほしいこともあります。今回の記事が、それぞれの部署の良い業務改革に繋がればといいなと願っています。

 

(★´∀`)ノ。。。。。。。。。。。。。。。。。。ココカラ3月記事内容START。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 

ここ数年、医師の働き方改革を進めるにあたり、話題となっている「タスク・シフティング/シェアリング」という言葉。ここでは、医師が行っている業務を他職種へ業務移管・共同化するという意味で使われています。医師の時間外労働規制が2024年4月から適用されるため、法令改正なく現行制度の下で、タスクシフティングの一定の成果を上げる必要があると、厚生労働省は考えています。
以前勤めていた都内の病院では、既にタスクシフティングを実行しており、医師の処方に関して多くの支援をしていました。その時の経験を踏まえて、タスクシフティングによって生じる課題と、今後の薬剤師業務の展望についてお話します。

 

薬剤師に移管可能な業務内容とは


タスクシフティングにおいて、「薬剤師ができる業務の明確化」がもとめられ、医師側団体からの提案と日本薬剤師会・日本病院薬剤師会からの提案が昨年提出されました。
院外薬局へ移管できる業務内容はごく一部で、主に院内薬局における業務が中心となっています。厚生労働省の資料より、双方から提出された提案「薬剤師へタスクシェアリング可能な業務」を表1に簡単にまとめてみました。[1]

 

表1 各団体が医師から既存職種へタスク・シフト/シェア可能と整理・提案された業務(新乃すずまとめ)

 

1. 手術室関連の業務支援
麻薬や鎮静薬の残薬計算をしなくてはならなかったり、薬剤の破棄方法が特殊であったりするため、取り扱い(使用・保管・回収・残薬の破棄)は薬剤師が行うことが望ましいです。特に術後は注射剤の処方が多くなるため、点滴ルート・配合変化のチェック、術後疼痛コントロールも行う必要があります。また、病棟薬剤師として勤務していた時は、点滴と内服薬の同効薬の重複が多く見受けられたので、医師に内服中止指示をよく依頼していました。業務移管後の質の確保としては、周術期管理チームメンバー又は専任薬剤師の配置が挙げられます。

2. 薬剤の投与・管理
持参薬の継続が必要か否かは、患者に指導介入して得られた情報をもとに医師が判断することが多かったです。医師は専門分野以外の薬剤に関しては詳しくないことがほとんどのため、入院してすぐに持参薬についての情報を薬剤師がカルテに入力しておくと、医師が指示を出しやすく、薬剤師としても早く調剤にとりかかれ、患者に薬を早く渡すことができます。また、下剤・湿布剤・塗布剤などはあらかじめ医師と取り決めたプロトコールに基づき薬剤師が投薬できるようにしておけば、看護師の処置行為もタイムリーに行えます。(プロトコールに基づき投薬はできても、患者に内服させる行為は現行では認められていない。)

3. 処方確認・変更・提案
医師への疑義照会のなかで、「普通錠からOD錠へ変更」「一包化指示追加・削除」「残薬調整による処方日数変更」など、治療に影響のない事項は事前に作成・合意されたプロトコールに基づき薬剤師が処方変更できれば、医師の負担も軽減します。私が勤務していた病院では、こだわりが強い医師が多かったことを理由に、プロトコールが医師ごとに設定されていたため、在籍医師が変わる度にプロトコールを作成していました。プロトコールは、インシデントを防ぐためにも1つにまとめることが理想です。しかしながら、診療科によっては薬剤の使用方法や患者の特性も違うため、せめて診療科ごとに作成することをお勧めします。また、医師へ患者の情報提供や処方提案を行うことは、入院中の患者の薬を整理することに繋がり、ポリファーマシーの予防や解決とともに、服薬コンプライアンス向上につながる大事な業務と実感しています。
さらに、持参薬を多剤内服していたり、入院中何度も処方変更があったりした場合、情報が複雑化するため診療情報提供書の退院処方を記載する部分は薬剤師が作成支援をしていました。正確な情報を提供することは、適正な医療の提供のために重要なことです。

4. 患者指導・支援
血糖測定や自己注射、吸入器の使用について、現行では侵襲的な針刺しや与薬行為は行えませんが、実技指導や外来での面談を実施することで、治療開始後の服薬アドヒアランスの確認・向上が期待できます。また、対患者への支援だけではなく、処方オーダー発行や、患者に適した剤形選択などを含む処方コーディネート支援を、外来診療室で薬剤師が常駐し行うことによって、医師の外来診療に割く時間の短縮にもなります。実際にこの取り組みを行っている病院の医師のアンケートより、薬剤師の外来業務が医療の質の向上に貢献していることが明らかになっています。[2]

 

Win-Winの関係の裏にある悲劇


タスクシフティングを進めると、薬剤師が行うことによって、安全かつスムーズに業務が遂行されます。一見、医師と薬剤師がwin-winの関係になったように見えますが、私が働いていた都内の病院では、タスクシフティングすると同時に問題も生じました。それは、薬剤師の業務量の増加と共に、残業時間が増え、離職者がでてしまったことです。
離職を阻止し人員を確保するためには、医師の働き方改革のみならず、医療現場全体の意識改革についても考える必要があります。タスクシフティングを実施した先にある職場の理想像について、職員全員同じものを描いていないと、環境が整うまではなかなか厳しい道のりになります。
環境整備には他医療職みなさんの協力がないと一筋縄ではいかないことを考えると、離島や僻地ではマンパワーが足りないため、医師の働き改革によるタスクシフティングの実現はさらに時間がかかりそうです。

 

薬剤師業務もスマートにタスクシフティング!


医師の働き方改革におけるタスクシフティングと同時に、薬剤師業務の改革も同時進行しなくては、キャパシティーオーバーになってしまいます。薬剤師がやるべきことと、薬剤師でなくても行える業務の仕分け作業が必要となってくるのです。
例えば、以下の業務は、必ずしも薬剤師が行わなければいけない業務なのでしょうか?これを機に、思い切ってタスクシフティングしてみましょう。

 

薬剤の発注・納品、在庫管理、期限チェック、使用状況のデータ化、(事務用品やシリンジ等の)物品発注・補充、勉強会資料コピー、MR受付・対応、注射調剤補助、内服調剤補助、処方箋整理、病棟へ配薬、清掃、電話FAX対応、レセプト業務、処方箋受付窓口業務、医療事務

 

これらの業務は、医療事務の方やメディカルクラークに依頼することができます。そして、医薬在庫管理システムやピッキングマシンの導入によって、薬剤師がチーム医療に携われる時間が生み出されます。

質の高い労働で質の高い医療をタイムリーに遂行するには、病棟薬剤師や在宅薬剤師などの薬局の外で活躍できる薬剤師が必要不可欠です。
医師は専門の診療科が決まっていますが、専門薬剤師など認定薬剤師制度はあるものの、薬剤師は全領域の薬剤を扱え、専門的知識を活かせることが強みです。医師の働き方改革によるタスクシフティングは業務の丸投げではなく、各医療職の働き方改革をすることで、医師が疾病の診断・治療方針決定や専門性と侵襲性の高い手技・治療に専念できる「専門的知識を活かしたチーム医療の推進」につながるのではないでしょうか。


参考URL
[1]厚生労働省.「ヒアリングで医師から既存職種へタスク・シフト/シェア可能とプレゼンテーションされた項目まとめ【業務内容別】」.https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558387.pdf,(参照2020-03-24)
[2]日本薬剤師会 日本病院薬剤師会.「医師の働き方改革を進めるための タスク・シフティングに関するヒアリング (提出資料)」. https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000528273.pdf,(参照2020-03-24)

 

こちらが3月の掲載記事です↓↓↓↓↓

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フリーランスの保育園探し2

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フリーランスの保育園探し1を書いてから早くも4か月経過。もう4月です。

なんでこんなに時間が空いてしまったかと言うと、なかなか保育園が決まらず悪戦苦闘していた。のかというとそうではなく、あっさり第一次申し込みで保育園が決まったのです!だから苦労話がとくに無く、、、拍子抜け。

(ほんと保育園決まらなくてツライ思いしてる方からしてみたら、ふざけるな!ですよね。スミマセン。でも、ウソを書く訳にはいかなかったので、正直に書きます。)

第8希望まで書いての第6希望の保育園でした。

蓋を開けてみると、どの月齢(年齢)でもまだ他の保育園では空きがあります。ママ友の1人は求職中(しかもご主人の就労証明書が間に合わず、減点あり)で第二次申請の時期で応募してみたら、保育園決まりました。

マジか。どうした今年、、、

去年まではそんな事なかったんですよ。待機児童はもちろんいたし、退園があればすぐに埋まるし。実際、去年の夏に保育園探していて、空きがあったから求職中で入園希望出して見ようかな~とのん気に考えていたら、すぐ埋まってました。

でも今年は、人気の保育園は希望する人が殺到したものの、第8希望〜第10希望くらいまでちゃんと書けばどこかの施設で受け入れてくれたのです。

うちが通う予定の保育園は4月から新設予定の保育園です。だから、前もって見学もできないし、情報も少ないから、希望者が少なかったんでしょうか?

しかしながら何故今年はこんなに一回で保育園が決まったのか?

出生数が一気に減少したから?

専業主婦が多い地区だから?

いえいえ、一番の理由は令和2年4月から新設開園の認可保育園が10施設もあったから!

やっぱりこれなんです理由は。

自治体としても、実際の出生率と希望出生率を近づけるべく、環境整備に力を入れたんでしょうね。

でも、来年はどうなるか分かりませんよ。今住んでる地区は、住民の9割が子育ての場として魅力的な場所だと思っていると、自治体のアンケート結果が出ているので、その噂を聞きつけお隣の街から転入してくる方が増え、子育て世代が集まってくると思われます。ほんと、タイミング良く新設施設が多くあってありがたいです。

 

さあ!これで、お仕事増やす覚悟決まりました。とりあえず、明日からドキドキの慣らし保育です。

 

新型コロナの影響どこまで?いつまで?〜小さい子供をもつ親の悩み〜

 

中国国内では、感染者数のピークがすぎ、その数値は今は減少傾向のようです。

しかしながら日本では社会的、経済的にはこれからますます影響が大きくなりそうですね。

ついに、全国の小中高や特別支援学校を臨時休校するよう要請すると政府からも表明もありました。

我が子の幼稚園(認可外保育施設)も来週3/2から自由登園(期間中は、園バス運行・保育は通常通りあるが、欠席しても欠席扱いとはせず、出席扱いとなる。)となりました。

もし、本人や同居家族の感染が認められた場合は完全休園を予定しているということです。

日本人にとっては春に大切なイベントが多いので、親心としてもとてもツライ部分があります。そして、3月生まれの子供にとっては、4月からずーっとお友達のお誕生日を毎月幼稚園で祝ってきて、やっと自分の番がまわって来た!という矢先の休園となった場合、親は何と小さい子供に説明したらいいのか答えが見つかりません。

 

日用品、食品の買い占めがエスカレート!

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(昨日のスーパー↑)

昨日はかろうじてあったトイレットペーパーも、今日はすっからかん、、、でした。

キッチンペーパー、生理用品も日本製と昨日確認して、購入を辞めたけれど、本日スーパーの在庫ゼロ、、、もちろんアルコール系の除菌グッズもなく、入荷未定だそうです。

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トイレットペーパーは中国製だから買い占めが起きてるとネットにちらほら書いてあるけれども、国内で販売されているトイレットペーパーは国産98%、中国製1.3%だそうです。

「オムツも品数がいつもより少なくなっているようです。」

「根拠のない不要な買い占めはやめましょう!」

とニュースで言っているけれども、この報道で、また明日オムツが陳列ゼロになりそうですね。

こういう状況のとき、ベビーカー押しながらの買い物って、多くの荷物持てないし、移動がスムーズにいかないため、お店のハシゴに限界があります。

ちなみに、いつも利用しているネットスーパーも欠品が相次いでいるので、いつまでこの状況が続くのだろうと、不安が膨らむばかりです。

流石に、生鮮食品は通常通り購入できましたが、保存の効くカップラー麺やパスタ、精米などの陳列棚はスカスカでした。

まるで、大型台風の前みたいに、、、

やっぱり、自宅でお仕事したり、外出を自粛して家に引きこもるならば、しばらくの間の食料品は買い込んでおきたいですよね。

しかし、焼きそばの麺(要冷蔵)も皆さん買われて、商品が残り少なかったです。焼きそばはお手軽に作れて、子供にも人気だからでしょうか?

 

公園も閉鎖。どこで遊ぶ?どう遊ぼう?

なんと、家の近くの大きい公園もいくつか閉鎖との情報が今入ってきました。

ますますお家にいて下さいって事のようですね。

うちはまだ小さすぎなので、公園はあまりいかないですけど、プレイルームは尚更接触感染が怖いので行けないですね。

実は、こうなる事を予想して、あらかじめ100均で子供のおもちゃをいくつか買ってあります!

新しいおもちゃがないと、刺激がなく、飽きてしまいますよね。

もし、幼稚園が休園になったら、自分でパズルを作ろうとホワイトボードとマグネットシートも何枚か100均で購入しました。

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インターネットで無料ダウンロードできる図形をもとにマグネットシートをカットして簡単なパズルを作る予定です。

 

このようにわざわざ材料を購入しなくても、空き箱や牛乳パック、ペットボトルなどで簡易なおもちゃを子供と一緒に作っても楽しいですよね!

また、折り紙や切り絵をしても楽しそうです。折り方や切り方はネット検索で沢山出てきます。

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↑折り紙を半分に折って、切り抜きます

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↑開いてみると切り絵が完成

 

小さい子供の感染対策はどうする? 

外出しないことが一番ですが、子供が小さいとお留守番ができないため、どうしても大人と一緒に外出せざる負えないですよね。そして、室内にずっといても、日光を浴びていないと、免疫力も下がってしまいます。

マスクをつけあげたいけど、大抵は嫌がって外してしまいます。

そんななか、我が家の子供に行っている予防策を紹介します。

・帰宅して石鹸で手洗い(うがいがまだできない年齢)

・食前に手指をアルコール消毒(アルコールアレルギーがないお子様限定)

・不特定多数が触れるトングを使う総菜・パンを買わない

・1日数回、部屋の換気を行う

・最低1日1回は家族みんな体温を計る

・お散歩は人が少なくて、風通しがよいところを歩く(川沿いを毎朝散歩)

・公園の遊具より自宅のベランダで遊ばせる(シャボン玉や縄跳びが子供に好評)

・睡眠をいっぱいとる

・人混みや仕事から帰宅した家族は、帰宅後すぐにシャワー・お風呂に入る。

・大勢が乗っているエレベーターはなるべく見送る

・宅配便が届いたら、暫く玄関先に放置又はアルコール系スプレーをシュッ!

・移動はなるべく公共機関を使用しない

 

など、できる範囲で行っています。コロナだけではなく、インフルエンザの予防にもなりますよ。(みなさん、インフルエンザの存在、忘れちゃってます?(笑))

小さいお子さんがいるご家庭の力に少しでもなれたら嬉しく思います。一緒にこの状況を乗り越えましょう。

 

☆薬剤師ライターのおススメ本☆ドラマ化決定!薬剤師が主役の漫画「アンサングシンデレラ」ブックレビュー

pharmabox.jp

今回の掲載記事は今読んでほしい漫画のご紹介!

掲載された記事に少し付け加えて下に書いてみました。

気になったら読んでみてね♪

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私が学生の時、「なんで薬剤師が主役のストーリーや医療ドラマがないのだろうか。

もしあれば、薬剤師の需要がもっと増えそうなのに。」と真剣に考えたものです。

それがついに、薬剤師がスポットライトを浴びる時がきました!

今回、薬剤師の視点で描かれている漫画「アンサングシンデレラ」を紹介します。

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「アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」徳間書店

月刊コミックゼノンにて連載中の「アンサングシンデレラ」。

「アンサング」とは、英語の「unsung hero(アンサングヒーロー)」=「縁の下の力持ち」という意味をもち、主人公が女性薬剤師のため「ヒーロー」ではなく「シンデレラ」としたそうです。

主人公は、総合病院薬剤部に勤務して2年目、お団子ヘアがチャームポイントの薬剤師“葵みどり”。

第1話では、薬剤師の必要性に疑問を持ちながら日々の業務をこなしている葵みどりがある日、整形外科に入院している患者の異変に気付くことからストーリーが展開していきます。葵みどりは、その患者の異変を主治医である整形外科医に訴えるも、患者本人が大丈夫と言っている限り整形外科で診ることではなく、内科的治療や検査は退院後にするべきだと、主治医はその訴えを受け入れません。そこで次に葵みどりがとった行動は、主治医に許可なく、内科医に検査してもらえるよう直談判しに行くのです。そんな一直線に突き進んでしまう“余計なお世話”のような薬剤師の行動が、果たして患者のためになるのでしょうか?

そして、葵みどりのお団子ヘアにもちゃんと意味があるのですよ!なぜお団子ヘアなのか、その理由を第9話で葵みどり本人が説明しています。私が病院薬剤師だった時も、葵みどりと同じ理由で毎日同じ髪型をしていました。その理由が気になる方もぜひ読んでみてください。

「アンサングシンデレラ」は、患者の“当たり前”の生活を守るためにどうしたらいいのか、“薬剤師の存在意義”を模索しながら、感情がすぐに顔に出てしまうキュートさを持つが曲がったことは放っておけない葵みどりの、健気に奮闘する姿から目が離すことができない医療物語です。また、「こういう几帳面で厳しい上司いたな~。」「こんな同僚と仕事したい!」と思わせてくれるような葵みどり以外の薬剤師の人物像も興味深いですよ。

“薬剤師あるある”ネタ満載

病院薬剤師をしていた私としては、「わかる、わかる!」と思わず嬉しくなってしまうような薬剤師のあるあるネタがたくさん出てきます。その中の一部を私の経験と一緒にご紹介!

~疑義照会をしたくて、葵みどりが医師の出勤をまちぶせする(第1話)~

手術が立て込んで忙しい医師や、せっかちな医師は、電話での疑義照会では、納得いく答えをもらえない場合が多々あるのです。私はその場合、食堂で医師を待ち伏せしたり、朝のカンファレンス前の医師に直撃インタビューのように処方意図を確認したり、処方変更を依頼していました。

~一包化の内容がバラバラの大量の持参薬を数える(第7話)~

入院患者の持参薬を鑑別する際に一番困るのが、色々な種類の薬が大量に混ざった状態で、スーパーの袋に詰め込まれて持ち込まれた時。薬の分別に時間がかかるのはもちろん、保存状態も悪く、いつ処方されたもので、使用期限がいつのものかも確認が取れないからです。また、年季が入ったお菓子の缶の中に薬と一緒に、知人に借りたお金の金額のメモが入っていたり、お孫さんとのプリクラが貼ってあったり、患者の生活が垣間見えることもあります。使用済のインスリンの注射針が大量の薬に紛れていた時はヒヤリとしました。

~薬剤師の白衣のポケットがパンパン(第9話)~

葵みどりが「薬剤師の方ってやたらポケットパンパンですよね?何入れてるんですか!?」と看護師に突っ込まれるシーンがあります。私も特に病棟を専任していた時は忙しく、すぐに薬剤部に戻れないため、必需品はすべて白衣のポケットに入れており、パンパンでした。白衣がいつも鎧のようにズッシリしていた記憶があります。

著者は薬剤師?と思うほどリアルに描写

「これ描いている人は病院薬剤師経験者だよね?」と感じてしまうほど、医療スタッフの心のつぶやきや処方設計など、医療現場が忠実に描かれています。

実は、絵を描いている方は医療従事経験のない荒井ママレさんという漫画家。では、どうしてここまで臨床現場を描けるのかというと、現役の病院薬剤師の富野浩充さんという方が医療原案という形で医療監修しています。富野さんはもともと静岡県出身、東京理科大学薬学部卒業後、ドラッグストア・調剤薬局・千葉県の病院を経て、現在は秋津市立総合病院薬剤科で薬剤師として勤務しながら、医療分野の雑誌でコラムを連載するなど、ライターとしても活躍している方なのです。

こんな人にオススメ!

  • 病院薬剤師・・・色々な診療科における薬剤師の活躍を見ることができます。自分の“仕事との向き合い方”に迷っている人や悩んでいる人にとっても、読めば何か答えを出してくれるきっかけをくれるかもしれませんよ。

  • 調剤薬局薬剤師・・・電話越しで、疑義照会の内容しか話したことのない薬剤師は普段どんな業務をしているのだろう。謎につつまれた病院薬剤師がどんな業務をしているかがわかりますよ。

  • 病院勤務スタッフ・・・薬剤師でなくても共感部分が盛沢山!読んだ翌日は、薬剤師と気持ちを共有してみてください。

  • 薬学生・・・それぞれの話に薬の名前が必ず複数出てきて、実際の臨床現場での薬剤の使用方法など写実的で勉強になります。ぜひ、バイブル本として病院実習前には一読を!

  • 中高生をお持ちのお父様・お母様・・・医療原案の富野さんは「この漫画が流行って、薬剤師になりたい中高生が増えてくれるといいな」と願っています。

さらに、患者そのご家族にもぜひ読んでいただいて、薬剤師を身近に感じていただき、些細なことでもどんどん相談をしてもっと薬剤師を頼って頂きたいです。

薬剤師が主役!ドラマ化決定!

4月スタートのフジテレビ系木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(毎週木曜22:00~)というタイトルでドラマ化することが決定しました。

主人公の葵みどり役は、女優の石原さとみさんがキャリア8年目の病院薬剤師として演じます。

「実際に薬剤師として働く方にとって、『明日もがんばろう』という活力になれたらうれしいです。」とコメントもしているので、特に現役薬剤師は必見ですね!
そして、気になる薬剤部のメンバーは誰が演じるのでしょうか?石原ひとみさん演じる葵のお団子ヘアを鷲掴みして、心にズキューンと言葉を撃ってくれる先輩薬剤師“瀬野”を誰が演じるのかも気になるところです。さらに、脚本はTBS系日曜劇場「グランメゾン東京」(2019)の脚本を務めた黒岩勉さんが初めて医療ドラマの脚本を手掛けます。どんなストーリーになるのか、ますます4月が楽しみですね。

 

病院薬剤師に向いている人は?~まずはメリット・デメリットを知ろう!~

気づいたら1月終わってるじゃないですか。

そして、この寒さに負けそうな人が、私ともう一方、、、

私のスマホ君です。なかなか目覚めてくれません!!

最近、異変には少し気づいていたのですが、家で様子を見ていたところ、昨夜から声掛けに反応しなくなってきており、顔色も悪い。

救急で、一晩中コンセントから栄養剤を点滴しても回復傾向なし。

とうとう終末期です。6年間お疲れさまでした(泣)

 

そんな急変時にも対応を迫られる病院に勤務している薬剤師は一体どんな業務をしているのでしょう??(ちょっとムリがあったかな、、、)

私が勤めていた病院の1日のスケジュールも簡単に書いてみたよ。

棚卸とかは、年2回だったけど、毎月やっている病院もあるみたい。

ハードな業務後にチマチマ(←悪意ある??)錠剤を数えて、薄いテープ材を1枚1枚数えて、麻薬の帳簿がおかしなことになってた時には、そのあとの合コンをキャンセルした若かりし日もあったっけな、、、、

と、大変なことを多く思い出すけれども、もう一回病院で働きたくなるときもある。

それはなんでか?

やっぱり、医師や看護師など他のスタッフと一緒に治療をして、患者が笑顔で退院できた時、その喜びをみんなで分かち合える。それが、日々の原動力になるよね。

病棟スタッフと、あうんのの呼吸で緊急処置が遂行できて患者の命を取り留めた時の安堵と達成感は何にも代えられない。

少し遅くなってしまったけど、1月分の掲載記事です。

良かったら読んでみてください!

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