薬剤師すずの書斎

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☆薬剤師ライターのおススメ本☆ドラマ化決定!薬剤師が主役の漫画「アンサングシンデレラ」ブックレビュー

pharmabox.jp

今回の掲載記事は今読んでほしい漫画のご紹介!

掲載された記事に少し付け加えて下に書いてみました。

気になったら読んでみてね♪

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私が学生の時、「なんで薬剤師が主役のストーリーや医療ドラマがないのだろうか。

もしあれば、薬剤師の需要がもっと増えそうなのに。」と真剣に考えたものです。

それがついに、薬剤師がスポットライトを浴びる時がきました!

今回、薬剤師の視点で描かれている漫画「アンサングシンデレラ」を紹介します。

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「アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」徳間書店

月刊コミックゼノンにて連載中の「アンサングシンデレラ」。

「アンサング」とは、英語の「unsung hero(アンサングヒーロー)」=「縁の下の力持ち」という意味をもち、主人公が女性薬剤師のため「ヒーロー」ではなく「シンデレラ」としたそうです。

主人公は、総合病院薬剤部に勤務して2年目、お団子ヘアがチャームポイントの薬剤師“葵みどり”。

第1話では、薬剤師の必要性に疑問を持ちながら日々の業務をこなしている葵みどりがある日、整形外科に入院している患者の異変に気付くことからストーリーが展開していきます。葵みどりは、その患者の異変を主治医である整形外科医に訴えるも、患者本人が大丈夫と言っている限り整形外科で診ることではなく、内科的治療や検査は退院後にするべきだと、主治医はその訴えを受け入れません。そこで次に葵みどりがとった行動は、主治医に許可なく、内科医に検査してもらえるよう直談判しに行くのです。そんな一直線に突き進んでしまう“余計なお世話”のような薬剤師の行動が、果たして患者のためになるのでしょうか?

そして、葵みどりのお団子ヘアにもちゃんと意味があるのですよ!なぜお団子ヘアなのか、その理由を第9話で葵みどり本人が説明しています。私が病院薬剤師だった時も、葵みどりと同じ理由で毎日同じ髪型をしていました。その理由が気になる方もぜひ読んでみてください。

「アンサングシンデレラ」は、患者の“当たり前”の生活を守るためにどうしたらいいのか、“薬剤師の存在意義”を模索しながら、感情がすぐに顔に出てしまうキュートさを持つが曲がったことは放っておけない葵みどりの、健気に奮闘する姿から目が離すことができない医療物語です。また、「こういう几帳面で厳しい上司いたな~。」「こんな同僚と仕事したい!」と思わせてくれるような葵みどり以外の薬剤師の人物像も興味深いですよ。

“薬剤師あるある”ネタ満載

病院薬剤師をしていた私としては、「わかる、わかる!」と思わず嬉しくなってしまうような薬剤師のあるあるネタがたくさん出てきます。その中の一部を私の経験と一緒にご紹介!

~疑義照会をしたくて、葵みどりが医師の出勤をまちぶせする(第1話)~

手術が立て込んで忙しい医師や、せっかちな医師は、電話での疑義照会では、納得いく答えをもらえない場合が多々あるのです。私はその場合、食堂で医師を待ち伏せしたり、朝のカンファレンス前の医師に直撃インタビューのように処方意図を確認したり、処方変更を依頼していました。

~一包化の内容がバラバラの大量の持参薬を数える(第7話)~

入院患者の持参薬を鑑別する際に一番困るのが、色々な種類の薬が大量に混ざった状態で、スーパーの袋に詰め込まれて持ち込まれた時。薬の分別に時間がかかるのはもちろん、保存状態も悪く、いつ処方されたもので、使用期限がいつのものかも確認が取れないからです。また、年季が入ったお菓子の缶の中に薬と一緒に、知人に借りたお金の金額のメモが入っていたり、お孫さんとのプリクラが貼ってあったり、患者の生活が垣間見えることもあります。使用済のインスリンの注射針が大量の薬に紛れていた時はヒヤリとしました。

~薬剤師の白衣のポケットがパンパン(第9話)~

葵みどりが「薬剤師の方ってやたらポケットパンパンですよね?何入れてるんですか!?」と看護師に突っ込まれるシーンがあります。私も特に病棟を専任していた時は忙しく、すぐに薬剤部に戻れないため、必需品はすべて白衣のポケットに入れており、パンパンでした。白衣がいつも鎧のようにズッシリしていた記憶があります。

著者は薬剤師?と思うほどリアルに描写

「これ描いている人は病院薬剤師経験者だよね?」と感じてしまうほど、医療スタッフの心のつぶやきや処方設計など、医療現場が忠実に描かれています。

実は、絵を描いている方は医療従事経験のない荒井ママレさんという漫画家。では、どうしてここまで臨床現場を描けるのかというと、現役の病院薬剤師の富野浩充さんという方が医療原案という形で医療監修しています。富野さんはもともと静岡県出身、東京理科大学薬学部卒業後、ドラッグストア・調剤薬局・千葉県の病院を経て、現在は秋津市立総合病院薬剤科で薬剤師として勤務しながら、医療分野の雑誌でコラムを連載するなど、ライターとしても活躍している方なのです。

こんな人にオススメ!

  • 病院薬剤師・・・色々な診療科における薬剤師の活躍を見ることができます。自分の“仕事との向き合い方”に迷っている人や悩んでいる人にとっても、読めば何か答えを出してくれるきっかけをくれるかもしれませんよ。

  • 調剤薬局薬剤師・・・電話越しで、疑義照会の内容しか話したことのない薬剤師は普段どんな業務をしているのだろう。謎につつまれた病院薬剤師がどんな業務をしているかがわかりますよ。

  • 病院勤務スタッフ・・・薬剤師でなくても共感部分が盛沢山!読んだ翌日は、薬剤師と気持ちを共有してみてください。

  • 薬学生・・・それぞれの話に薬の名前が必ず複数出てきて、実際の臨床現場での薬剤の使用方法など写実的で勉強になります。ぜひ、バイブル本として病院実習前には一読を!

  • 中高生をお持ちのお父様・お母様・・・医療原案の富野さんは「この漫画が流行って、薬剤師になりたい中高生が増えてくれるといいな」と願っています。

さらに、患者そのご家族にもぜひ読んでいただいて、薬剤師を身近に感じていただき、些細なことでもどんどん相談をしてもっと薬剤師を頼って頂きたいです。

薬剤師が主役!ドラマ化決定!

4月スタートのフジテレビ系木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(毎週木曜22:00~)というタイトルでドラマ化することが決定しました。

主人公の葵みどり役は、女優の石原さとみさんがキャリア8年目の病院薬剤師として演じます。

「実際に薬剤師として働く方にとって、『明日もがんばろう』という活力になれたらうれしいです。」とコメントもしているので、特に現役薬剤師は必見ですね!
そして、気になる薬剤部のメンバーは誰が演じるのでしょうか?石原ひとみさん演じる葵のお団子ヘアを鷲掴みして、心にズキューンと言葉を撃ってくれる先輩薬剤師“瀬野”を誰が演じるのかも気になるところです。さらに、脚本はTBS系日曜劇場「グランメゾン東京」(2019)の脚本を務めた黒岩勉さんが初めて医療ドラマの脚本を手掛けます。どんなストーリーになるのか、ますます4月が楽しみですね。